初めて家シーシャを買ったときの話|失敗だらけのシーシャ作り

たまには昔話を。現在、Shisha Cafe & Bar LAGOS南船場・心斎橋店のオーナーとしてプロとしてシーシャを作らせていただいている僕ですが、なにも最初から順調にシーシャを作れていたわけではありません。

初めてシーシャを作ったのは一人暮らしの自宅で。当時お客さんとして通っていたRASというお店(のちにスタッフとして働くことになるお店)でシーシャの美味しさ、楽しさに触れ、家でもできないものかと考えていました。

ネットでいろいろ調べてみると、どうやら家シーシャ勢なる言葉があるくらいで、お店だけではなく家でもシーシャを楽しむ人も多いと知り、早速RASのオーナーに相談を。

当時はシーシャ専門のECサイトなんてものがあることすら知らず、Amazonで売られているシーシャパイプをオーナーに見せては、「これはよくない」、「これはまあいいけど、ちゃんとメンテナンスせんと錆びるで」などの助言を受けていました。

「結局どれがいいのかよくわからん」(心の叫び)

今でこそある程度知識もつき、パイプやフレーバーのよしあしを見抜けるようになりましたが、その時はそんな知識があるわけもなく、わからないことばかりでした。

これは自分で考えるよりも、プロに任せたほうがいいと判断して、「初心者はとりあえずこれ買っとけってのありますか?あればそのセットをそのまま買います」と伝えたところ……

「今度パイプ発注するから、一緒に買っといたろか」

「お願いします」(力強い声)

というやり取りを経て、念願の家シーシャへの第一歩を踏み出したのです。

そもそもなぜ家シーシャをしようと思ったのか

ライターの仕事をしながらシーシャを吸うのがルーティンになり、多いと週に4~5日はRASに通っていたわけですが、そもそもどうして家シーシャにチャレンジしようと思ったのか。

こんなに美味しいシーシャが家でもできればいいだろうな、シーシャ吸いながら家で仕事するとか最高やん。そんな気持ちがあったのはもちろんですが、なにより大きかったのは週末のRAS混み過ぎという点。

誤解のないように断っておくと、混み過ぎ問題はネガティブな話ではないんです。それだけ人が来るのはすごいことだし、なにより美味しいシーシャを求めて人が集まっているのだから、お店として多くの人から最高評価を得ている証拠。

ただ、個人的にはゆっくり仕事をしながらシーシャを吸い、たまにスタッフさんと気軽に話してガス抜きをしたい気持ちが強く、週末は家でシーシャを吸い、比較的空いていることの多い平日にお店に遊びに行けばいいやというのが、その時の考えでした。

(とりあえずシーシャは吸わなやってられん)

RASで美味しいシーシャに触れて、シーシャ沼にどっぷり浸かっていたことは認めましょう。家シーシャを始めることで、さらに深い沼にずぶずぶと沈んでいくことは、この時は知る由もないのですが。

ともあれ、家でもシーシャを楽しみたい、ゆっくりしているタイミングはお店で、忙しそうなときは家でという使い分けをしたいというのが、家シーシャを始めようと思った理由です。

家シーシャを始める準備としてやったこと

パイプは海外から仕入れるとのことで、到着は早くても1ヶ月後と聞き、その間に自分でできる準備をしておこうと思いました。

「家シーシャをするのに、なにを用意しておけばいいですか?」

そう質問すると、いろいろなアイテムを言われ、最初って結構色々揃えなあかんねんな、ちょっとめんどうやなと思った記憶があります。

ただ、初心者セットとしてパイプやホースなどの付属品、炭などは一緒に販売してくれるとのことで、自分で用意するのはフレーバーと電気コンロくらいのものでした。

フレーバーは教えてもらったサイトで、電気コンロは近くのヨドバシで購入。その後、ヒートマネジメントシステムも買ったほうがいいよと教えてもらい、おすすめのアマボーストを追加購入。フレーバーやヒートマネジメントシステム、そしてパイプが届くのを待ち、そわそわした日々を過ごします。

電気コンロ代が浮いた話

閑話休題として、家シーシャ開始前のラッキーだった話を。当時はインバウンドの方も多く、街には海外からの観光客の方であふれていました。

電気コンロを買うべく、梅田の街を歩いてヨドバシに向かっていると……

「へいそこの君!俺たちは今から甲子園に行きたいんだけど、駅はどこにあるのかな?」

的なノリで話しかけてきた、外国人観光客の老夫婦。つたない英語で説明しようと思ったものの、ヨドバシから阪神梅田駅までの道のりって、めっちゃ説明しづらいんですよ。これ、大阪に住んでいる人ならわかりますよね。

日本語でも説明しづらいのに、英語で説明できるわけもなく、とりあえず英語で「OK、じゃあ案内するからついておいでよ」的なノリで返し、阪神駅まで案内をすることに。

途中気まずくならないように英語で話していると、アリゾナ出身で仕事はもうリタイアしたそう。

「アリゾナわかる?」と聞かれ、「わかるわかる。クールだね」とあってるのか間違ってるのかわからないことを話しながらだらだらと歩いて案内をし、無事阪神駅へ。

切符を買ってあげると、「飯食った?」と聞かれ、「まだやけど(え、もしかしてこっから飯一緒に食う感じなん?)」と思っていると、千円札を2枚握らせてくれました。

「君は道案内をしてくれた。君は仕事をしたから、俺はお金を払う。これがアメリカの流儀さ」

的なノリでお金をもらい、とりあえずセンキューと言う僕。最後に年齢を聞かれ、当時の年齢を言うと驚かれました。日本人は若く見えるというから、たぶんもっと少年なのだろうと思っていたんでしょうね。

ともあれ、老夫婦にもらったお金を握りしめてヨドバシに戻り、もらったお金で無事電気コンロを購入できましたとさ。

ついに家シーシャ開始

そろそろパイプが届いたかなとそわそわしている頃、お店に行く前に電話をかけ、パイプが到着しているか確認してみました。

「あ、ライターの方ですよね。パイプ、今日届きましたよ」

めちゃくちゃテンションを上げながら電車に乗り込み、代金を用意してお店に向かいます。到着時にパイプが届いていることをもう一度確認して、とりあえずシーシャを吸いました。

シーシャ吸ってる間に物を用意してくれるとのことで、そわそわしながらシーシャを吸い、今日も美味しいなと平凡な感想を並べて待ちます。

そして、帰りにパイプを受け取り、作り方のポイントやパイプの組み立て方などの説明を受け、るんるん気分でお店を出ました。ちなみにパイプだけではなく、ホースや炭もサービスでつけてもらい、至れり尽くせり。

さっそくシーシャ作ったろ

家に帰って、よしさっそくシーシャ作ったろ。

と息巻いていたのですが、ここで注意点を思い出します。

「付属のボウル別に使えるやつやけど、最初めっちゃ土の臭いするから、一晩水につけといたほうがいいで。まあ、とりあえず吸ってみたいなら、土の味しながら吸ってみてもいいけど」

パイプに付属していたのは、いわゆる素焼きのボウル。今でこそ理解していますが、素焼きのボウルは土の粒子が荒く、まだ完全に引き締まっていない状態です。つまり、水につけることで粒子の隙間を埋めて、土の味を緩和するというのが大事なのですが、気持ちは「そんなことより、とりあえず作ってみたい」。

まあ、初めての家シーシャとなれば、状態よりも気持ちが先行してしまうのも無理はありません。今でもすぐに吸いたいって気持ちはわかります。

さて、アマボーストを購入していたものの、まだ届いておらず、家にはパイプとボウル、フレーバーに炭がある状態。平たくいえば、作るなら直置きしか選択肢がない状態。

難しいのはわかってたんですよ。だって、アルミの上に直接炭を置くんだもん。そんなスタイル、自分が吸ってきたシーシャで見たことなかったし。

でも、失敗してもいいから、とりあえずやってみたい。気持ち先行で、緊張と興奮のシーシャ作りを始めていきます。

使用したフレーバーは、今ではあまり見かけることのない、ハリルマムーンのブルーベリーミント。エジプシャンのパイプでおなじみのハリルマムーン、実はフレーバーも出してるって知ってた?

ブルーベリーミントなら大体の味わかるし、大丈夫やろうと高を括って、シーシャを作っていきます。フレーバーを盛り、アルミを張り、炭が焼けました。

よしっと気合いを入れて炭をおそるおそるボウルに乗せると、乗せた瞬間に「ジュー」という焼肉みたいな音が。シーシャのことを何も知らない状態の自分は、「え、やばいやばい。速攻焦げたんちゃう」と焦りながらも、とにかく5分くらいは待ってから吸うというアドバイスを思い出し、不安な気持ちで蒸らし時間を過ごします。

緊張のひと吸い目のお味は?

蒸らしの時間を終えて、緊張のひと吸い目。さあ、どんな味だったのでしょうか。結論からいうと、「うわ、まずっ。なにこれ」という悲惨さ。

まず、焦げた味がする。そして、粘土みたいな土臭さを感じる。ブルーベリー?そんな味ねえよ。ミントはかすかに感じるかな、くらいのもんです。

初心者にアルミ1枚張りの直置きで、素焼きのボウルはハードルが高すぎました。結局30分くらい頑張って吸ってみたものの、どうしても美味しくならず、残念な気持ちで終了。

翌日、速攻でRASに行き、昨日の失敗をこまごまと話し、「まあ最初はそうやろな」と一言。えーもっと美味しいの作りたい!ってことで、お店に行くたびに質問をし、トライアンドエラーを繰り返す日々。

結果アマボーストが届き、RASで使っていないボウルをもらってそのセッティングで試すことで、徐々に美味しいシーシャを作れるようになっていきました。

ちなみに、初期の家シーシャのベースとして使っていたセッティングが、アマボーストに薄いファンネルのオクタゴンボウル。

今思うと、最初から結構難しいスタイルでやってたんだなと思うけど、最初のハードルが高かったからこそ、今こうしていろんな方法でシーシャを作れているので、シーシャキャリアとしては過酷であっても、すごくいい経験をしたなと思っています。

後日談なんですが、ブルーベリーミントだけ全然美味しく作れず、相談してみたところ、「え、ハリルマムーンのブルーベリーミントなん。あんなもん味薄いから頑張ってもめちゃくちゃ濃厚で美味しくは無理やで。Al Fakher買ったらいいやん」といわれ、大人しくAl Fakherを買うと「なんやこれ、めっちゃ美味いやん」となりましたとさ。

作る技術ってめっちゃ大事やけど、それだけじゃなくてフレーバーチョイスも重要なんだなあと思い知りましたね。

これから家シーシャを始める人に伝えたいこと

シーシャブームは過熱して、お店だけではなく、気軽に自宅で吸うという人も増えています。これから家シーシャを始める人に伝えたいのは、「頑張れ」の一言。

え、もっと具体的なアドバイスがほしい?じゃあもうちょっとだけお伝えすると、「失敗してもめげないこと」、「飽くなく探求心を持って続けること」が大切です。

今はいろんな器材があって、家シーシャのハードルはそれほど高くありません。でも、どれだけ便利な器材があっても、結局美味しく作れるかどうかは自分の技量次第。

最初から卓越した技術を持っている人なんていませんから、失敗したとしてもなんどもトライし、少しずつ地力を上げていくしかありません。

家シーシャが難しいかどうかを問われると、「そんなに難しくないけど、こだわって美味しく作るとなると難しい」と答えることが多いです。結局は、どこまでの味を、クオリティを家シーシャで再現したいのか。目標の設定値によって、ハードルの高さは変わるといえます。

家シーシャって難しかったり、管理がめんどうだったりで、結局お店に通うという人も実際多いです。でも、それでいいんじゃないでしょうか?

家で吸うのは気軽なもの、お店で吸うのは本格的なもの。イメージでいえば、自炊するか外食するかの違いくらいです。これを読んでいるあなたが少しでもシーシャに興味があったり、シーシャがだいすきであったりするなら、とにかく挑戦してみる価値は十分にあります。

もし、家シーシャを始めて全然うまくいかない、作るのがめんどうでお店で吸いたいなんて声があれば、いつでもShisha Cafe & Bar LAGOS心斎橋・南船場店に遊びにきてください。

当店へのアクセス|お店周辺の地図と各線からの所要時間

シーシャのこと、作り方のポイントなどなど、なんでもお話させていただきます。お店は心斎橋駅から徒歩5分の立地です。美味しいシーシャを作って皆さまをお待ちしております。さあ、お気軽にお越しください。

シーシャについてもっと知りたいって人は、ホームページの他の記事を読んでみましょう。また、豆知識については、店主のTwitterで発信しておりますので、そちらもご参考くださいませ。

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